ジム・スナイダー来日

表題の通り、今年もジムがやってくる。
このHPを見ている人には、エモーションカヤックスのデザイナーとして知っているのだろうが、それ以外にもカヤック界に数々の功績を
残してきた人なのである。
そんな生きる伝説を明日空港へ迎えに行き、月曜までを一緒に過ごします。

なので明日9月9日金曜から、9月12日月曜までinit の業務お休みとなります。
ご迷惑をお掛けしますが、ご理解よろしくお願いします。

先日、たまたま以前にカヌー・カヤックの専門誌に連載をしていた時のインタビュー原稿が見つかったので2007年当時のまま転載しておきます。
文中、「フリ馬鹿」とあるのは「フリースタイル馬鹿一代」という連載だったからです。




インタビューウィズ ジム・スナイダー

今回のフリ馬鹿は、昨年9月にスクォートギャザーの為に来日した、スクォートの神様と呼ばれるジム・スナイダーとのインタビューをお送りしたいと思います。ジム・スナイダーと言えば、スクォートボートの神様と呼ばれていますが、今日のプレイボート、プレイボーティングにも多大な影響を与えています。ショートボートやカートホイールなどのトリックもジムがいなければ生まれていなかったかも知れません。アメリカ、メリーランド州に春にオープン予定で現在建設中のホワイトウォーターパークに併設される、インターナショナル・ホワイトウォーター・ホール・オブ・フェイム(簡単に言うとホワイトウォーターの殿堂)への殿堂入りが決まり、盛大なセレモニーが行われ、地元の新聞でも大きく取上げられました。この殿堂入りに関しては、数多くのノミネートされた人々の中から投票で選ばれるシステム(実際には今回、50人のノミネートから選ばれたのは5人)になっており、今回は他に元スラロームワールドチャンピオンのスコット・シプリー氏等が選ばれています。

初めてジムに会ったのは今から、約14年くらい前、ちょうどニューウエーブ社からスリーク(今となっては懐かしい…)と言うプレイボートが発売された頃だったと思います。その後、年に一度のスクォートギャザーや、アメリカの展示会で会う事もあり、もう何十回と話しているので、今さら改めてインタビューというのもお互いに面映いので、世間話が中心となってしまいますが、神様と呼ばれる人物の素顔に迫って見たいと思います。

スクォートボーティングの創始者の一人として有名なジムですが、彼の功績はそれだけにとどまらず、ELFボーティング(エクストリーム・ロー・フロー)という渇水に近い状況下でのダッキーによるクリークボーティングや、数多くのボートやパドルのデザインなどを長年に亘って行ってきた。50歳を過ぎた今も現役パドラーとしてアメリカ東部ウェストバージニアのチートリバーのほとりに住み、FUNを追い求めています。ジム・スナイダーという人を語るうえでキーとなるのがこのFUNという言葉です。ジムが常に我々に語っているのは「自分達のスタイルでFUNを追い求めよう!」という事なのです。

フリ馬鹿:先ず最初に、殿堂入りおめでとうございます。日本のスクォーティストも非常にうれしく、そして誇りに思っています。
取り敢えずはインタビューらしい質問から始めてみますか(笑)まずは、生年月日を聞かせて下さい。

ジム:殿堂入りについては本当に名誉な事だと思っています。改まってのインタビューって、緊張するね…。1954年4月7日生まれ、今年で52歳になります。

フリ馬鹿:午年ですね…。唐突だけど、好きなお菓子は何?甘い物?それとも辛い物?

ジム:う~ん、チョコレートだね!ミステリームーブをするのに体重が必要だし…。

フリ馬鹿:(体型を見て)納得!OK、じゃぁ、何度も来日しているけど、日本の食事で一番好きな物は?

ジム:里美(Funforeverの小野さんの奥様)が作ってくれる料理は全部おいしいよ。レストランで食べる物だと、うどんかな。

フリ馬鹿:苦手な物は?

ジム:もう知っていると思うけど、食べ物だと魚類全般を食べません。あとは、高い所が苦手です。私は、クライマーじゃなくて良かったと思っています。


フリ馬鹿:ハハハッ、カヤッカーで良かったね!ところで、初めてカヤックに乗ったのはいつですか?

ジム:初めて乗ったのはオープンカヌーで、1965年、カヤックに乗ったのは2年後の1967年だね。

フリ馬鹿:へぇーっ、最初はオープンカヌーだったんだね。そういえばアメリカのパドラーの話を聞くと、最初はOCからって奴が多いよね。ちなみに小学6年生の頃ってどんな子供だったの?

ジム:アホな子供だったね…。ちょうどパドリングを始めた頃で、学校の授業中にもぼんやり窓の外を眺めて、「あぁ、川に行きたいなぁ~」って、ずぅーっと考えていたよ。

フリ馬鹿:ハハハッ、日本には、そんな事ばかり考えて仕事中にぼーっとしている人はいるけれど小学生で既にそのレベルだったんだね。ところで、今までカヌーで一番ヒドイ目に遭った事って何ですか。

ジム:結構何度もヒドイ目に遭っているんだけど… 17才の時に増水した川の巨大なホールで遊んでいた時にホールに捕まってしまい、出られなくなったんだ。ボートも壊れてしまい、全く呼吸が出来ないまま、長い時間グルグル回され意識を失ってしまった。しかも、そのホールの僅か5メートル下流には大きな滝があり、一緒にいた友人が、レスキューしてくれて、滝の手前にあった最後のエディに何とか引き上げて貰って事なきを得たんだ。あれは、今考えてもゾッとする経験だったね。もう一つの経験は、グランドキャニオンをスクォートボートで下った時にラバフォールって言う有名な瀬で強制ミステリーさせられたのも恐かったよ。ラバフォールは、超暴力的で、あっという間に強制的にミステリームーブをさせられて、水面にボートが浮上する気配すら無い感じだったんだ。時間にして1分位は水中にいたかな…。しかも、浮上した時にはスプレースカートが外れた状態で、大きなエディラインに向かって流されて行ったんだ。全く生きた心地がしなかったよ。もっと他のエピソードも聞きたいかい?

フリ馬鹿:いや、もう充分です。しかし、色んなヒドイ目に遭っているんだねぇ。ちょっと話の方向を変えて、ボートデザインの話を聞きたいのですが、ボートをデザインする時のアイデアはどんな所から湧いてくるんですか?

ジム:私は、これまでに70を越えるボートをデザインして来ました。スクォートボートの進化の過程では、サーフボードからヒントを得た事もありました。フラットなハルやレール(チャイン)等のデザインは特に影響を受けたと言えるかな。しかし、実際にボートに乗っている時に、「こんなムーブをしたい、こんな川で使いたい」といった自分の欲求がデザインする事へのエネルギーだね。

フリ馬鹿:なるほど。現在、取り掛かっている最新のプロジェクトについて教えてもらえますか。

ジム:最新のスクォートボート「KOR」の股下の長い人用のバージョン「Ninja」をティム・ホーラーの為に作っていて、もうすぐ出来上がります。Ninjaは、KORと同じコンセプトで、ミステリームーブ専用艇です。モチロン、ハルのコーンケーブもKORと同じだよ。あともう一つは、今、アメリカでブームになっているカヤックフィッシング用のボートもデザインしている所だよ。

フリ馬鹿:スクォートボーティングの将来についてどのようになって行くと考えていますか?

ジム:この我々のスクォートボーティングというスポーツは、未だ誰もが完成させていないスポーツです。この先もまだまだ変化をして行くでしょうが、更にミステリームーブに重点が置かれる事になると予想しています。川の中には、水面と同じ様にウエーブやエディがあります。エキスパートスクォーティストは、頭の中に水中の川地図を描いてゆきます。その水中のウエーブでサーフィンしたり、水中のエディをつかんだりする事が出来ればどんなに楽しい事だろうと想像しています。ただ、ロデオが辿ったように、ボートメーカーのマーケティング戦略に左右され、勝ち負けにあまりにこだわり過ぎて楽しむ事を忘れてしまうような状況にならない事を望んでいます。

フリ馬鹿:スクォートボーティングにおけるミステリームーブについては、ボードサーフィンでいう所のチューブライディングに近い物だと思っているのですが、サーフィンの世界で神様と呼ばれる、ジェリー・ロペスが語っているように、スクォートボーティングも精神的姿勢が問われるスポーツだと思っているのですが、これについてはどのように考えていますか?

ジム:全くその通りだと思うね。ミステリームーブを行うには、技術ももちろんだけど、パドラーの勇気も試されると思う。そして、私達にとって一番大事な川や自然へのリスペクトこれも大事な事だね。

フリ馬鹿:今日は本当にありがとうございました。

何だか2人ともチョッとヨソ行きな会話になってしまいましたが、素顔のジムは、すごくお茶目でジョーク好きなおじさんです。日本の事も大好きで今年もスクォートギャザーに合わせて来日をする予定です。カヤック界のレジェンドに会って見たいという方は、9月に予定しているスクォートギャザーに是非、参加してみて下さい。


init enomoto について

ウォータースポーツ関連商品の輸入・販売に10数年携わり、ホワイトウォーターカヤッカーとしても活躍。2009年、initを起業しエモーションカヤックス社をはじめアストラルボヤンシー社、イマージョンリサーチ社の輸入代理店を行いつつ、様々なカヤック関連イベントにも参加している。
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